全国で報道されている保育所等における「不適切保育」についてです。
富山市の認定こども園でも、保育士が書類送検されたという報道がありました。
暴行という行為は許されるものではありません。
一方で、特定の行為だけが報道され、日々の保育の流れで、どのような文脈で不適切保育があったのかがよく分かりません。
保育士も人間であり、感情があります。子どもとのかかわりで楽しい気持ちにもなりますが、怒りの気持ちがあって当然です。
メディアでは「子どもが好きで先生になったのに、どうしてそんな酷いことをするのか理解できない」という発信もありました。
「子どもが好きだから先生になった」という理解も少し短絡的ですが、仮に「子どもが好きだから」という動機だったとしても、子どもに対して優しくなれるわけではありません。逆に「子どもが好きだから」という動機が先生を苦しめることにもなります。
子どもが好きだからゆえ期待することと、子どもの反応とのギャップに苦しみ、先生の中に起きた「なぜ、言うことを聞いてくれないのか」という怒りの気持ちを子どもにぶつけてしまう可能性があるからです。
また、してほしくない行動(例えば、食事のときに立ち歩く、相応しくない状況で大声を出す、物を投げる等)に注目し、叱るというかかわりをすることで、子どもはそれに反発したり、自分に注目してくれていると思ったりして、してほしくない行動が続きくため、さらに子どもを強く叱ってしまうわけです。この循環が続くと、先生自身の自己否定は強くなり、次の不適切保育に繋がる可能性もあります。これは、支援の悪循環です。
支援の悪循環は、対応マニュアルを作ったり、してはいけないことを諭したり、罰則を与えることだけで解決しません。
これらのことを一方的に求めることによって、さらに強いストレスが加わり、心身の不調に繋がったり、退職していく先生もいるでしょう。
この悪循環を断ち切るために
「ペアレント・トレーニング」の教育版である
「ティーチャーズ・トレーニング」という手法が効果的です。
新年度が始まる前に、園の先生たちで「子どもへのかかわりについて」の共通認識をもつことが大切です。
その一つの方法として、ティーチャーズ・トレーニングを学んでみるのも良いかもしれません。

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