第4回
「クレスコ」のコラムを書くことになったが、今まで通りの仕事をしながら、毎月、二千数百文字の文章を書くという仕事がプラスされるということは正直なところ負担になった。
毎月15日の締め切り日が近づくと、パソコンと睨めっこをする日が増えていった。そんな中で始まったコラムも20回まで書き上げた。出版社との契約が残り4号分で終わるというところまでくると、この「書く」と仕事が終わってしまうことに一抹の寂しさを覚えた。そして、最後に私が社会に対して伝えたいことは何かということを熟考した。そんなとき、不登校が約30万人になり、不登校特例校、民間フリースクール、校内フリースクールの常設等の「居場所」をテーマにした報道を毎日のように目にした(一例を①~③に挙げた)。この報道で、私の中の違和感がうごめき始め、「居場所」について地方の個人開業心理オフィスという臨床現場から問題提起をしたいと思った。
このような「居場所作り」という社会の流れに対して今、自分の考えを主張しないことは、目の前にいる子どもに対しても、その家族に対しても、そして自分自身に対しても不誠実だと思った。
そして、心理職の同業者、他職種の専門家たちとのディスカッションを通して書き上げたのが、教育雑誌「クレスコ」の「居場所Ⅰ」「居場所Ⅱ」という2部作だった(2024年2月号、 2024年3月号)。
第5回に続く。
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