高岡市教育委員会主催の高岡市学校保健講演会で講師としてお声をかけていただきました。
学校医、学校歯科医、学校薬剤師、学校長、保健主事、養護教諭、養護助教諭の約50人を対象にした1時間の講演です。
テーマは
子どものSOSの受け方について-こころの理解と支援ー
学校現場で起きる事例を交えながらグループワークを中心にお話をしてきました。
不適応行動は心身のSOSであること、子どもの話の聴き方、プレイセラピーの考え方を基にした子どもの遊びの理解、相談することの意味等、参加者の方々と学び合いました。

今回は、主催者を通してたくさんのフィードバックをしていただいたので、多くの参加者の方々の感想を掲載します。
・「SOSの出し方教育」というものを初めて聞いた。是非取り入れたいと思う内容であったので、機会があれば、校内研修会や学校保健委員会等で行ってもよいと思った。深澤先生の「悩みをなくすことはできない。悩みを抱えながら生きていけるようになること」という言葉が、心に残った。養護教諭として、少しでも子供に寄り添える援助者になれればと感じた。
・人の気持ちがわかりにくいということをわかりやすく教えていただいた。そして、SOSを出している人が話したくなくなってしまう状況にならないように対応する受け手側の準備も大切だとわかった。もしものときは、思い出してそしてSCにつなごうと思う。最後の悩みを雲に例えられたような詩が素敵だった。雲がひろがっていくというようなところが好きだ。ゆっくり眺められる余裕をもちたい。
・ハッとさせられることがいくつもあり、自分の保健室での対応を振り返ることができた。子どもから悩みを打ち明けられると、つい「その気持ち分かるよ」と言いたくなるが、無人島の果物を描く体験から相手の気持ちは分からないということを改めて理解することができた。相手の気持ちは分からない、でも、分かってあげたいという心構えで対応したいと思う。保健室に来室する子供が黙っていると、こちらが何か話さなくてはと焦りが出ることがあるが、沈黙にも意味があるということを教えていただき、落ち着いて対応することができそうだ。わずか1時間でしたが、多くの学びがあった。
・以前、個人的に拝聴した深澤先生の講演内容とほぼ同じだったが、その分、自分自身に深く刻みこまれたと思う。相手の気持ちは分からないことを肝に銘じ、相手を知ろうとすることが重要だと改めて感じた。また、講演中におっしゃった「ロジャーズの言葉で、『カウンセリングの根底には、受け止めたり分かってあげたりすることで、治っていく、というものがある』」という言葉が印象的だった。おそらく自身も学生時代にカウンセリングを学ぶ最初に聞いていると思うが、頭に残っていなかった。これまでの経験で「聴く・受け止める」ことの大切さを実感していたが、やはり大切なのだと腑に落ちた。これからも自信をもって、聴くこと・受け止めることを心がけていこうと思う。「SOSの出し方教育」もどのようにすすめていけばよいのか、調べてみたいと思う。
・子どもとのかかわり方の3つのポイントのうち、「子どもの気持ちや考えを分かろうとする」ことは、一般論や自分の価値観で判断してしまいがちな私にとって、とても重要な視点だと思った。相手の置かれた状況や感じ方は、自分と同じではないことを前提に寄り添うことが、信頼関係を築く第一歩なのだと気づかされた。
・「大人が子供のSOSの受け止め方を間違うと、子供の命を奪うことにもなる」という言葉が強烈だった。人の心は完全に理解することは難しいが、ていねいに話を聞いていくことや、沈黙になる意味や背景を考えてみようとする姿勢が、子供の困り感に少しでも寄り添うことにつながるのではないかと感じた。また、カウンセリングで何を聞かれるのだろう、何を話すのだろうと身構えてしまいがちだが、相談することの意義は、「自分のトリセツ」を作っていく作業という話が、自分を知ることに繋がり、生きづらさから少し解放されるイメージがもてた。
・講演会後、久しぶりに6年生の児童と話した。家族のことや自分のことを、言葉を選びながら30分ほど話して帰った。私は、子供の言っていることを「こういうことなのかな」と聞きかえしたり、話し始めるのを待ったりして、子供の話を聞いた。この講演を聞いていなかったら、「分かるよ」と言っていたかもしれない。帰り際に子供が「話を聞いてもらって少し楽になった気がするよ」と言ってくれた。いろいろ大変なこともあるが、よかったと思える1日になった。
・子供に助けを求められたとき、対応できる大人でいられるよう、自己研鑽に励まないといけないと思った。また、今まではカウンセリングにはどのような効果があるのか、目的は何なのか、よくわかっていなかったが、カウンセリングを受けることが自分を知ることに役立つこと、カウンセラーは相談者の本来ある主体性を回復させたり、成長させたりすることを大切にしていることを知ることができた。カウンセラーの先生がこのような視点で子供と関わっていることが分かり、今後、連携をとる際に役立てられると思う。
・『子どもの気持ちは分からない』『子どもの心は完全に理解することはできない』この2つの言葉がとても心に残った。子どもとの会話の中で、「わかる、わかる」と言っている自分がいた。自分が子どもの頃のことを思い出し、大人に「分かるよ」と言われてしまうとそれ以上何も言えなくなってしまっていたなということを思い出した。また、『沈黙』も大切にしていきたいと思った。今後、子供との関わりの中で、子どもの心に興味をもち、沈黙を恐れず、丁寧なコミュニケーションを心掛けていきたいと思った。自分の子どもとの関わりを振り返ることができ、とても勉強になる講演だった。
・「子供たちがSOSを出しても、SOSを受ける側が適切な対応をしないと、子供をさらに傷つけてしまう」というお話にどきっとした。今までの自分の対応はどうだったのかと考えさせられる言葉だった。先日、保護者の方と話す機会があり、自分も似たような経験があったことから「わかります」と言いながら話を聞いていた。ただ、本当に保護者の方の気持ちに寄り添えていたかなと反省した。「完全に理解できないことを理解することが重要」ということを肝に銘じたいと思う。
・先日のお話で、子供の「沈黙」がどのような意味を持っているのか考えること、そして子供と対話する上でとても大切にすべきことだと分かった。ついつい、子供が沈黙していると、こちらから「どう思っている?~しようと思っている?それとも~」と会話をつないでしまうことがあったと反省した。次から、沈黙を大事にし、待つ姿勢でいたいと思うまた、子供がSOSを出している際の聞き手の不適切な対応や言葉のスライドでは、職場ではしないけど、我が子にはやっていると思うところがあった。親子で距離が近い場合、子供の話を聞こうとしても、子供が「うるさい!」「面倒くさいから行きたくないんだよ!」と言った反抗的態度をとることがあり、そんな時に、聞く姿勢でいることがなかなか難しいと感じることがある。ぜひ、先生の親向けの講演があれば参加して親としての立場で勉強したいなと思った。
・相談を受ける側が子供とかかわる能力や話を聴く能力を身に付けていないと、勇気を出してSOSを出してくれた児童生徒に辛い思いをさせてしまう危険があり、状態を悪化させると改めて感じた。そうならないために不適応行動を起こしている子供に対して、「よくないこと」として向き合うのではなく、心や体を守る防衛反応として起こっている状態であることを受け止め、子供の気持ちや考えを理解しようとする態度を養いたい。また自分自身が沈黙に脆弱であると気付いた。つい、沈黙でいることに不安を感じてしまい、「話す」=「放す」「離す」になっていたのだと反省した。沈黙の意味を考える癖を付け、子供の語りを待てるようにしたい。これまで児童生徒の気持ちに寄り添った対応を心がけていたが、「子供の心は完全に理解できないこと」を理解し、子供の心に興味をもつことをこころがけていきたい。
・保健室で生徒の話を聞く際に「共感」が大切だと思うあまり「気持ち、よくわかるよ」という表現をしてきたことを反省した。「わかる」は安易に使わないこと、相手を理解しようとする姿勢や気持ちが大事だということを肝に銘じて生徒に関わろうと思う。
本校では、スクールカウンセラーによる「SOSの出し方教室」を数年前から各教室で実施していただいている。生徒にも「信頼できる大人に話そう」などと保健だよりにも書いていたが、SOSを受け取る側こそ研修が大事だと聞き、全くその認識が足りなかったと感じた。「遊びは子どものこころ」というお話で、何を聞いても話をせず黙っている子に対して、私は保健室に折り紙を置いていて、そんな子によく折り紙を勧めた。ほとんどの児童は保育園や幼稚園で折り紙を経験しているせいもあり、不思議と折り紙をしなかった子はいなかった。中には色とりどりの折り紙を楽しんで喜んでいろんな物を折ってくれたりして、そこから会話ができて児童の心が和らいだという経験をしたことを思い出した。すぐに解決を急ぐのではなく、子供の心に寄り添い、待つゆとりが大人に求められると改めて感じた。
・「SOSの出し方教育」という言葉はよく聞くが、今回の講演を聞いて、改めて調べたり、生徒指導担当と話をしたりするきっかけになった。子供が大人に相談することで傷付くことがあるという話を真摯に受け止め、SOSを受け止める力を高めていく必要があると実感した。相手のことが分からないから、分かろうとすることを大事にし、専門家と連携しながら、子供たちが自分のことを客観的に考えていけるように支援していきたいと思う。「心の支援で目指すことは、悩みをなくすことではなく、悩みを抱えながらも生きていけるようになること」という最後の言葉が、とても印象的で、本当にそうだなあと思ったし、それを目指して関わっていきたいと思った。
・深澤先生の講演スタイルは、導入部分から自然な流れで参加していけるもので、自分が人前で何か語ることがあれば、取り入れてみたいと感じた。
*記事の掲載は主催者の許可を得ております。
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